隅野 貴裕・直伝!タイピングのコツ ~速く正確に打つ~
 ミスなく打数を増やすには(2)

隅野 貴裕(毎日パソコン入力コンクール 技術顧問)写真
 このコーナーでは、毎パソ歴代参加者の中で特に秀抜な成績を残す隅野 貴裕 直伝・タイピングのコツを特別公開します。

※「タイピング界の神」としてTV番組に取り上げられる他、 数々のメディアから取材を受ける、毎パソ技術顧問。


『きょうはいしゃへいく』と打った場合の変換結果は、大きく分けて2種類の可能性があることにお気づきでしょうか。
1つめは『今日は医者へ行く』、2つめは『今日歯医者へ行く』です。

この2つの可能性に気づかないと、『きょうはいしゃへいく』と入力→変換ボタン→変換候補を確認せず1番目の候補で確定としてしまうかもしれません。1番目の変換候補が意図とは逆のものだったら、気づかないうちにミス入力となってしまいます。
こうしたことを防ぎ、正しい日本語を入力するためには、文節を意識しながら・正しい変換なのかチェックしながら入力することが欠かせません。
この例でいえば、「今日は」で一度漢字変換を確定させ、続いて「医者へ行く」とすれば、変換を確定させることができます。「歯医者」としたい場合には、「今日」で一度区切りましょう。これが、「速く正確にタイピングする」ことに繋がるのです。

そんな、毎パソに必須の「速く正確にタイピングする」方法を、さらにご紹介します。

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前回のおさらい
■ 質問
 ミスなく打数を増やすには、どう練習したらいいですか?

■ 隅野
 正確性と速度のバランスは難しい問題ですが、ミスの修正はロスが大きいため、基本的には正確性を最優先するとよいでしょう。

(a)ミスの原因を認識する → 詳細はこちらから

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   今回は、速く正確に入力するために必要な2つめを見ていきましょう。
前回同様、ローマ字入力を前提にお答えしますが、かな入力の方も考え方を応用できると思います。


(b)すべてを速くしようとしない

   意外に思われるかもしれませんが、速く入力するためには「“すべての文章を速く”入力しようと考えない」ことが大切です。タイピングには、緩急が必要なのです。
『もっと速く入力できるようになりたい!』と練習したらミスが増え、正解入力完了までにかえって時間がかかったということはよくありますね。その原因は、“すべての文章を速く”入力しようとしたことかもしれません。

   どういうことなのか?具体例を挙げてみます。
例えば、「一喜一憂(ikkiitiyuu)」は、速く打とうとしても限界のきやすい単語です。同じ指の連続使用が多いためで、速度を上げれば上げるほど、ミスの発生率も高くなります。1つでもミスがあると、修正に思った以上の時間と手間がかかることは、前回説明した通りです。
一方、「憶測(okusoku)」や「ポインタ(pointa)」などは、相当速く入力しても指の限界はきません。連続する文字列に割り当てられたキーが、異なる指で入力するものなので、速度を限りなく上げてもミスをする危険性が低いためです。
   さらに詳しく言うと、こういうことです。

<入力に必要な指運び>
「一喜一憂(ikkiitiyuu)」
   右手中指×5回 → 左手人差し指 → 右手中指 → 右手人差し指×3回

「ポインタ(pointa)」
   右手小指 → 右手薬指 → 右手中指 → 右手人差し指 → 左手人差し指 → 右手小指


「一喜一憂(ikkiitiyuu)」は、右手中指を5回連続で使わなければなりませんね。しかも、右手中指で5回入力の間にキー移動が3回必要です(i→k→i)。指がもつれやすい条件が整っているといえます。
この条件で速く押そうとすると、「i×1回 → k×2回 → i×2回」のつもりが「i×2回 → k×1回 → i×2回」と打っていた、などのミスが起こるのです。もし超絶スピードで正確に入力できたとしても、指がつりそうなほど大変な作業です。長文ならその後の文章で、指の疲労からくるミスの危険性が高まります。
こうした単語は、無理せずゆっくり打ったほうが安定し、ミスがなくなり、結果的に速くなります。

   つまり、速く入力するためには、つぎの事柄を意識することも大切なのです。

1)文字列によって、どの指で打つ文字か、そしてどちらの手の何指を、
              どんな順番で使うか、といった指運びが決まる

2)その指運びによって、速く入力しようとしたら
              ミスが出る確率が高い文字列なのかを見極める

3)速く入力できる文字のカタマリだけ(2以外)を、より速く入力する

   最初は難しいかもしれません。
まずは一度、入力せずに課題文の出力紙を眺めて1)→2)を考えてみてください。文章ではなく、1つの単語だけでも構いません。
頭の中で考えるのが大変なら、使う指に1~10までの番号をつけて、課題文を番号に変換したものを書き出してみてください。
そして、速く入力できる文字のカタマリをみつけ、そこにパッと見ただけでわかるよう赤ペンなどで印をつけてみましょう。
印をつけたら赤ペン部分だけを『もっと速く』、それ以外は急がずに入力してみてください。これまでよりも「速く正確に」タイピングできるはずです。

“速く入力できる文字のカタマリと、そうでないものを理解し、そこで速度に緩急をつける”ことは、「速く正確にタイピングする」ために欠かせないのです。

長くなりましたね、今回はここまでにしましょう。

―――いかがでしたか?
文字列を、入力する時に使う指番号で書き出す時には、無料配信中の毎パソ課題文章データファイルが便利です。PDF、ワード、テキストの3種類でダウンロードできます
効果がわかるとやる気も増すので、つぎのような方法をとるのも手かもしれません。
   いつも通り入力してタイム測定
       →文章を眺めて速く入力できる文字のカタマリに赤ペン
             →赤ペンの文章だけを、さらに速く入力するよう意識して練習を積み、タイム測定

毎パソの無料練習ソフトは、時間がきたら入力できなくなり、3秒で自動採点されます。同じタイムで何文字多く入力できたか、ミスは増えていないかなどがひと目でわかるので、ご活用ください。
毎パソの大会に参加しない方も、無料で利用できます(課題文章、タイピング練習ソフトともに)。

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次回は(c) 最速入力できるキーを選ぶ(上級者向け)について、お届けします。