趣意書

現在、我が国の人口は減少の一途をたどり、経済活動を支える生産年齢人口も減っています。このような状況下、持続的な経済成長を実現するためには、ITを活用した生産性の向上を推進する必要があり、デジタル技術を徹底活用できる人材の育成が急務です。

また、小学校の学習指導要領では、「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考を身につけるための学習活動」が明記され、中学校の次期学習指導要領では、「生活や社会を支える情報技術について調べる活動、生活や社会における問題をネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツプログラミングによって解決する活動、生活や社会における問題を、測量・制御のプログラミングによって解決する活動」などが盛り込まれる見通しです。

一方、スマートフォン保有率が年々増加し、7割を超えています(総務省、平成28年版 情報通信白書)。多くの若者がスマートフォンを持つことで、パソコンが必要なくなり、キーボードで文字入力をする機会が減少しています。しかしながら、大学生が論文を書いたり社会人になって仕事で文章を作成したり、プログラムを組んだりするときには必ずと言っていいほどパソコンとキーボードを使います。スマートフォンは、携帯に便利でいつでもどこでも使える反面、長文の文章や本格的なプログラミングをするには不向きです。文科省の小学校学習指導要領(総則)にもあるように、コンピュータで文字を入力するなどの、学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作は、デジタル技術活用の基礎基本です。

このようにキーボードによる文字入力は、社会での必須技術ですが、アルファベットと記号だけを使う英語圏のタイピングとは異なり、日本語のローマ字入力は〈アルファベット-ローマ字-ひらがな-漢字かな交じり〉の順に、段階を踏んで習得していかなくてはなりません。この高度な技能を習得するには、基礎から根気よく続ける練習とそれを励ます周囲の目や指導力が必要となります。

毎日パソコン入力コンクールでは、小学生から段階的にキーボードを使った文字入力に取り組み、高校生になったときには、手書きのスピード(1分間に40文字程度)の2倍の速さでキーボードを見ずに入力でき、入力という行為が思考の妨げにならないようになることを目指しています。(手書き文字との比較 https://www.youtube.com/watch?v=8S6aBrp4oow

当コンクールが、児童・生徒たちの学習意欲や学力の向上、デジタル技術活用力の基礎基本の修得、さらにはITを活用した生産性の向上を推進できるデジタル技術を徹底活用できる人材の育成に資することができれば幸いです。

タイピングと手書きとの比較